B君は模型を作った。
しかし、評価されなかった。
「せめて塗装ぐらいしようね」
B君は塗装した。
ちょっと評価された。
B君は嬉しかった。
もっと評価されたかったB君は大量の塗料を厚塗りした。
しかし、評価されなかった。模型の微妙な凹凸が全部塗料に埋まって消えてしまったからだ。
やけになったB君は模型を叩いた。
塗料が少し剥げた。
すると評価が上がった。「使い込んだ雰囲気がよく出ている模型だ」
もっと評価されたかったB君は塗料を全部剥がした。
しかし、評価されなかった。
「せめて塗装ぐらいしようね」
(遠野秋彦・作 ©2013 TOHNO, Akihiko)